2017.03.14 校長室からに「卒業式式辞」をアップしました。
PDFはこちらです。
 冬が終わりを告げ、暖かい日差しに春の訪れを感じる頃となりました。この佳き日に、多数の御来賓をお迎えし、平成二十八年度卒業証書授与式を挙行できますことに、心から御礼申し上げます。
 まず、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。体育会や合唱コンクール、生徒会やボランティア活動に、前向きに取り組める生徒達でした。同時に、その行事や活動を楽しむことができる生徒達でした。明るく穏やかで、後輩達に優しさを見せると同時に、仲間への気配りを忘れない、仲の良い生徒達でした。本校教育への御協力に感謝すると共に、皆様がお子様と歩んでこられた義務教育の九年間に、心から敬意を表します。
 次に、地域の皆様、四十四名の生徒たちが今日の日を迎えられますのも、学校行事や授業への御支援、地域行事など活躍する場の御提供、また、日頃から生徒達を見守り、励ましてくださったお陰と、心から感謝しております。これからも伊里中学校の生徒達をどうぞ宜しくお願いいたします。
 そして、卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。学年にはそれぞれの色があります。私が皆さんに感じた色は空の青色です。この春のような温かい日差しを生み出す、ふんわりとした空色です。
 修学旅行で訪れた長崎のホテル。ロビーに座っていると、一人集まり、二人集まり、気がつくと私の周りのソファー全部に、誰かが座っていました。何を話したかは覚えていません。ただ、ふんわりと優しい気持ちになったことを覚えています。
 平和会館で語り部の森内さんから、原爆の恐ろしさと戦争の愚かさを教えていただきました。皆さんの真剣に話を聞く態度も、平和の誓いもとても素晴らしいものでした。それに加えて、皆さんが修学旅行後に書いた御礼の手紙は、森内さんの思いをしっかり受け止めると同時に、森内さんの体や心を気遣う、心優しいものでした。
 昨年度のチャレンジワーク後の手紙も、今年のハンセン病学習後の手紙も、先日の給食調理場への手紙も、皆さんの手紙にはいつも優しさが溢れていると思いました。
 その一方で、今年の体育会もA組、B組が、手に汗を握るデッドヒートを繰り広げました。気迫がぶつかり合い、作戦が交錯し、最後の最後までどちらが勝つか分からない勝負でした。それはやがて、一・二年生を巻き込む応援合戦にまで広がりました。見に来られた方々を、きっと魅了したことと思います。
 素晴らしかったのは戦いだけではありません。開会宣言や閉会宣言、挨拶、選手宣誓、諸注意、準備運動、胸を張り、声を張る姿は、私たちが皆さんに求めたレベルを十分に超えていました。
 ソーラン節の指揮や太鼓の迫力も、センターの天を突き刺すような手の挙げ方も、地鳴りがするような迫力ある演技も見事でした。ソーラン節は確かに伊里中学校の伝統になったと、誇りに思いました。
 生徒会長を中心にして歌った校歌には、保護者や地域の方々も加わってくださいました。記念写真の撮影では、A組、B組関係なく、充実感一杯の笑顔が並びました。伊里中学校だけでなく、伊里地区全体の仲の良さや温かさを感じたひとときでした。
 部活動も必死の姿を見せてくれました。あと一歩、もう一歩の部もありました。敗戦が決まった時の無念そうな顔、今も瞼に残っています。そんな中、県大会に進んだテニス部と卓球部、特に中国大会へあと一勝まで迫ったテニス部や、全国大会に進んだ備前ボーイズ、アヴァンサールFCの活躍は嬉しいことでした。皆さんの夢は後輩達がきっと果たしてくれることでしょう。
 伊里中学校が大切にしているボランティア活動でも大活躍でした。私のトイレボランティアの先生は三年生の人達でした。試験週間中の芝生ボランティアに来てくれた人もいました。体育会や文化祭など、伊里地区の行事では、中学生らしい活躍を見せてくれました。地域や保護者の方々に御協力いただきながら取り組んだ熊本震災への募金十万円は、優しさ一杯の贈り物でした。
 三年生が頑張り、一・二年生がその背中を追う。今年もそんな理想の姿を見ることができ、本当に感謝しています。来年度も今の一・二年生が、益々素晴らしい伊里中学校を創っていってくれることでしょう。
 平成二十九年、伊里中学校は伊里小学校と小中一貫教育校伊里学園として、新たなスタートを切ります。目指す生徒の姿は、「故郷を誇りに思い、確かな学力・豊かな心・健やかな体で、未来へ飛躍する伊里の子どもたち」です。豊かな自然と閑谷学校や正楽寺など由緒ある歴史を持つ街、伊里。人々が優しく真面目で、子供と学校を大切にしてくださる街、伊里。皆さんが大人になった時、「自分の故郷は岡山県備前市の伊里だよ」と、胸を張って誇ってほしい。将来に向けて、社会で通用する賢さと、心の優しさと、心身の健康を身につけてほしい。そして、将来、世界や日本を股にかけて活躍するもよし、伊里に留まり、地域を盛り上げ、未来の伊里を担う子供たちを育てるもよし、それぞれが思いを持って未来へ飛躍してほしい。そう願っています。
 皆さんは、小学校でも中学校でも、十分に頑張りました。その成果を財産に、更に大きく成長することを願っています。
 改めて、御卒業おめでとうございます。皆さんの輝く未来を信じています。

平成二十九年三月十四日
      備前市立伊里中学校長 金光一雄