2018.03.13 校長室からに「卒業式式辞」をアップしました。
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 厳しかった冬の寒さが和らぎ、穏やかな日差しに、春の訪れを感じる頃となりました。この佳き日に、杉浦教育長様、高橋副市長様を始め、多数の御来賓をお迎えし、平成二十九年度卒業証書授与式を挙行できますことに、心から感謝申し上げます。
 まず、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。いつも真面目で前向きな生徒たちでした。明るく穏やかで和気藹々とした生徒たちでした。また、素晴らしいチームワークを発揮し、最高学年としての役割を果たす生徒達でした。本校教育への御協力に感謝すると共に、皆様がお子様と歩んで来られた義務教育の九年間に心から敬意を表します。
 地域の皆様、今日までの多大なる御支援、御協力、本当にありがとうございました。四十二名の生徒たちが今日の日を迎えられますのも、伊里の子供たちを見守り、支えてくださった皆様のお陰です。その活動が認められ、今年一月には岡山県弘済会から「地域と共に生徒を育てる中学校」として表彰もしていただきました。これからも、伊里学園をどうぞ宜しくお願い致します。
 そして、卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。今年度の一番の課題は、伊里中が初めて取り組む縦割り体育会でした。体育の先生方は毎晩遅くまで準備をしてくださいましたが、最後は生徒次第です。各ブロックリーダーを中心に、皆さんの頑張りで、体育会は最高に盛り上がりました。最後を飾ったソーラン節は、力強く華やかでした。新しい伊里中学校の伝統を創ってくれ、心から感謝しています。
 修学旅行の平和集会で歌った「上を向いて歩こう」。皆さんの澄んだ歌声が青空に吸い込まれていくようでした。松浦の民泊のお刺身は魚臭くなく、凄く美味しかったですね。温かいおもてなしに、ゆっくり寛ぐことができました。
 合唱コンクールも印象に残っています。分かっていてもなかなか一つになれないもどかしさ。学級で話し合いと練習を重ね、今年も素晴らしい歌声でした。最高だったのは学年合唱。三年生が一つになり、会場全体が盛り上り、いつまでも余韻の残る、思い出深い合唱コンクールでした。
 一年生の時から取り組んできたボランティア活動も立派でした。備前警察署、備前ライオンズクラブ、岡山県わかば賞、備前市激励賞など、沢山表彰して頂きました。「ボランティアは楽しい」「頼りにされる中学生になりたい」とボランティアに励む皆さんの姿をとても頼もしく思いました。今は沢山の一・二年生が当たり前のようにボランティア活動をするようになりました。これも皆さんから始まった新たな伝統の一つです。
 ところで、今年度から伊里学園は論語の勉強を始めましたが、日本では数年前から哲学ブームが起きています。哲学とは人の生き方を考える学問です。はなむけとして、哲学者ニーチェの言葉と、それについての斉藤孝先生の解説を幾つか紹介します。
 「まずは、大胆に自分を信じることだ。君自身と君の内臓を信じることだ。自分を信じない者は嘘をつく。」内臓とは自分の内側から湧き出てくる気持ちを指します。自分の内側の声に正直になりなさいと、ニーチェは言っています。
 「自らを愛することを学ばねばならない。」人に悪口を言われても、自分を好きなら頑張れます。自分が自分自身の一番の味方になることです。
 「君たちは未来の種を蒔く者にならなければならない。」葛飾北斎は富士山より高く波を描くダイナミックな浮世絵で西洋の画家達に大きな影響を与えました。社会は常に新しいものを生み出しながら成長していきます。次の時代を創るのは皆さんです。
 「最初から飛ぶばかりでは、空高く飛ぶ力は獲得できない。」高く飛びたいと思うなら、まず立ち、次に歩き、走り、飛ぶというように順に階段を登る必要があります。早く成長したくても、一つ一つ努力を重ね、自分の成長を粘り強く待つことです。
 「これが生きるということか。ならば、もう一度やってみよう。」人生において、上手く行かないことは山ほどあります。しかし、悪いことでも何か学ぶことはあるはずです。それならば、良いことも悪いことも全てを受け入れ、例え上手く行かなくても、「よし、頑張ろう」と何度でも頑張ることが大切なのではないでしょうか。
 「さて、これが私の道だ。君たちの道はどこにある。」道とは生き方です。全ての人に通用する道はありません。誰かの言う通りの道ではなく、自分の道は自分で見つけるのです。義務教育を終え、新たな一歩を踏み出す皆さん、あなたに出来ることは何でしょうか。あなたしか出来ないことは何でしょうか。あなたがやりたいことは何でしょうか。
 改めて御卒業おめでとうございます。皆さんの更なる成長を心から願っています。

平成三十年三月十三日
      備前市立伊里中学校長 金光一雄